備長炭専門店 廣備 渡辺健三郎社長

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備長炭専門店 廣備 渡辺健三郎社長
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今回は中葛西の有名な炭屋さん、廣備の社長である渡辺さんです。
葛西地区に移ってきた当時の苦労話や、炭に対する熱き思いを語って戴きました。
江戸川区南部はバーベキュー広場が点在するので私たちにとって炭は意外と身近な存在なのではないでしょうか。


私は中葛西で炭を扱う会社、廣備(ひろびん)を経営しています。
本社兼葛西倉庫はちょっと目立つ建物なのでご覧になれた方もいるかと思います。

私たちのような炭を扱う業者の多くは昔は八丁堀に集まっていたんです。
流通の利便性もあり炭屋のメッカだったのです。
そこから37年前に西葛西の鶴岡市出張所の前に移ってきたんです。現在のこの場所へは平成になってから移ったので20年以上前ですね。
私たちが葛西に移ってきたときはまさに「陸の孤島に行くのか?」みたいに言われるほど八丁堀周辺が炭の中心地だったんですよ。
このように言われるだけあって、やはり移ってきた当時は交通の便が悪く大変でしたね。でも今は本当に便利になって場所云々は関係なくなりました。
どこに行くにも高速道路が張り巡らされていますからね。
また葛西に来て千葉のお客様が特に増えました。やはり我々が一番千葉に近かったわけですからね。

うちで取り扱っている炭は全部で220種類くらいあります。有名な紀州の備長炭は15~20種類常備してあります。
サイズは大小色々と取り揃えてご用意していて小指くらいの大きさから腕くらいの太さのものまで、種類が豊富で炭を使うスペースを選びません。どんなシーンにも合うよう常時在庫をご用意しています。
さらに高知のものや宮崎の日向も取り揃え、中国の輸入ものに至っては50種類以上あります。倉庫は葛西を本社として国内外に数箇所展開しています。

外食産業の炭火焼が『炭』を身近に

私たちが取り扱っている炭は焼肉、焼き鳥、うなぎ、せんべい、ステーキなどに最近はよく使われています。
『炭火焼が美味しい』と話題になり飲食店でよく使われるなったので最近では炭がより身近になっていると思います。

特に海外で作られる炭は日本の炭の約1/3の値段で買えますので炭火焼が広まりやすかったのだと思います。
ところで『海外の安い炭よりも日本の炭のほうが味が良い』と聞いたことはありませんか?正直なところ炭は燃料ですから、『味自体』は大して変わらないんですよ。
しいて言えば紀州備長炭が最高です。よく聞くと思いますがこれは一番固い炭なんです。
炭の良し悪しはもともとの木の種類や固さなどの性質で決まります。
固い炭が良いとされている理由は火持ちが良いことと、灰が炭の上に少しずつしか被らないので温度変化が少ないことです。
温度変化が一定なのでひっくり返して両面を焼くときに焼き上がりがよく、美味しくなるのです。

でも高い炭はなかなか使えないと思いますので、ちょっと役立つ話をご紹介しますね。バーベキューなどで使われるような量販店で売っている安い炭の場合は、どんどん灰が被ってしまいます。
灰をどける意味で定期的にゴソゴソっと炭を動かしてあげましょう。
灰の被りによる温度変化を最小限に抑えることができます。ぜひ一度試してみてください。

しかしながら安い炭の場合は残念ながら火力が弱いんです。これを補うには炭を沢山使ったりするのですがこれも限度がありますよね。
バーベキュー場などに行くと『あぁ、美味しそうな食材使っているのに火力が弱くてもったいないなぁ』と私たち炭屋はよく思うんです。
たまにはいつもよりちょっとだけ良い炭を使ってバーベキューをしてみませんか?きっと美味しく楽しめると思いますよ。

地元に方にもぜひ買っていただきたい

私たちは基本的には料理店さんに炭を販売するのが主な仕事なのですが、最近では個人のお客様にもどんどん販売していきたいと思っています。
今のところ中葛西にある本社には表立った販売窓口がないので『個人には売ってくれない』と思われていますが、今までも仰ってくだされば個人のお客様にも販売しているんですよ。そんなに頻繁に買うものではないですが、定期的に購入していただける常連さんもいます。
これからは個人のお客様に良い炭を体感して戴きたく思い、倉庫を改修して販売できるスペースを作ろうと計画中です。これは今私が一番やりたいことなんですよ。

地元の繋がりでは、町内会でお祭りをするときに『模擬店の焼き鳥で炭を使いたい』ということでお声を掛けていただいています。
また西葛西周辺はバーベキューができる場所がしっかりと整備されていることで、比較的炭が身近になっているのではないかと思います。
やはり家庭では使いにくいものですし、バーベキューなどができる場所がないとどうしても一般的に炭は浸透しにくいものです。

最近は炭が個人のお客様にも買いやすくなってバーベキューなどでも使われるようになりましたが、ここまで普及したのはやはり価格面なんですよね。
しかしその中には一部粗悪なものがあるのも事実なんです。
私たちは国産の良い炭を一般のお客様にも使ってもらいたい、地元のご家庭に使ってもらいたい、と思っているのです。

炭には消臭効果や調湿効果も

炭は料理だけでなく消臭効果だったり湿度調節の効果があるということで料理以外でも注目されるようになりましたよね。
実際私どものビルにも5トンくらい炭を入れて建てているんです。
初年度は結露がなかったですね。ただコンクリートで作られてるため水分を溜めやすく効果が高いとは言えないんですけどね。
有名な方ですと野球の落合監督のお風呂が真っ黒だそうです。健康にいいということで炭を大量に埋め込んでるそうですよ。
もし新築や改築の際に家に炭を利用したい、と思われた方はぜひお声を掛けていただければご相談をお受けしますよ。

最近は食品、家具、衣料品など色々なもので大量に安いものが売られていますよね。
それが悪いとは一概に言えませんが、私たちはそうではなく質の高いものにこだわっていきたいのです。
それが『本当に良い炭を提供していく』ことだと思っています。
野菜だとスーパーなどで生産者の顔付きで『私が作りました』と出ていますよね。
私は炭もそうしていけたらなぁと思っています。『日本で私たちが作った良い炭です』と胸を張って表示し、信頼して良い炭を買ってもらえるように。

実は炭屋なんて継ぎたくなかった・・・

炭屋もそうですが、それに関わる林業にしても最近はこのような仕事を継ぎたくない、という人が増えています。
そんな私も若い頃は炭屋なんて継ぎたくないと思っていましたよ。早くこんな仕事やめて違う商売したい、と。
でも『お前がやらなくてどうするんだ』と支えてくれた焼き鳥屋の旦那がいたんです。
『お前が炭売ってくれなくなったら俺たちはどうしたらいいんだ』ってね。
『もしやめるなら炭全部買うからよこせ』とまで言うんですよ。『俺の目が黒いうちは炭で焼き続けたい』と。
嬉しかったですねぇ。私たちを必要としてくれる方たちがいるんだと思い、炭屋を続けることができました。今でも本当に感謝しています。

それから私たちを含めた複数の問屋とメーカーで穴のあいた炭、オガ炭を考案しましてね。
これは練炭とは違い接着剤などの不純物を使わずに木の油だけを使っておが屑を固めてあるんです。固める際に空気を含んでスポンジ状になってしまうので空気抜きのために真ん中に穴が開いているんですよ。
長いこと試行錯誤しました。これは天然の炭ではないのですが、オガ炭の完成で計画的に炭を生産することが可能になったわけです。これでどんどん仕事に夢中になってゆきました。
最初は炭屋なんて・・・と思っていましたが今ではこの仕事ができて、親父に本当に感謝しています。取引先のお店ももう三代のお付き合いになるところもあります。

我が家の炭火焼事情

炭屋ということもあり、我が家では炭を使って食材を焼くことが多いんですよ。
そんな我家に生まれた娘の昔話なんですけどね。
中学校のときにアジの塩焼きが家庭科の授業であったのです。みんな美味しいって言って食べていたんですけど、うちに帰ってきて『あまり美味しくなかった』って言うんですよ。『うちで炭で焼くほうが美味しい』って。
外食に行っても舌が肥えているというのでしょうか・・・。ちょっと大変なこともあるんですけど、炭屋をやってる親としては何か嬉しいですよね。

2010年9月28日 廣備事務所にて

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