関口美術館館長 関口雄三さん

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関口美術館館長 関口雄三さん
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■関口美術館を作った動機や思い入れほかを語って戴きました。

私は生まれも育ちも葛西なんです。
半農半漁の家に生まれて、一年中家の手伝いです。
毎朝、鶏に水をやってから30分くらい歩いて小学校に行く毎日でした。
友達には『あさり売り』をしてから学校に行く子もいました。
たまに遅刻なんかしたりしてね。

関口美術館館長 関口雄三さん朝ゴカイをとってきて、釣りをする大人に餌として売ったり、
ベカ船を出して釣り人を乗せたりすると当時で800円ももらえたんですよ。
魚も手づかみでとったり、潮干狩りをしていたら潮が満ちてきておぼれそうになったりもしました。
いつも命懸けで遊んだものです。
思い返すとそういうことが、肉体的にも精神的にも役に立っているんですよね。

大学卒業後は、黒川紀章都市建築設計事務所、馬場建築設計事務所をへて建築設計事務所を開設し、ふるさと葛西でひとつひとつ建物を作ってきました。区画整理が進む中、ふるさと葛西の変わりゆく姿に問題意識を持つようになりました。

建築を文化として捉えていないものが多いのです。
そこへいくとヨーロッパは『昔からの気風』とか『文化を温存して未来につなげていく』ということを大切にしています。

関口美術館館長 関口雄三さん日本でも建築を文化としてとらえて、次の世代に残していけるかというのが重要なんです。スクラップアンドビルドで『必要なくなったから壊す』というように発展してきたという事もありますが、経済だけでなく人間の環境、文化、精神的な部分も大事なんです。
環境も建築も次の世代に残していくことが大切です。

このビル(関口美術館の入っている建物)はマンションですけど、
このような住宅を単純に『建物を建てて儲けよう』とかでは駄目だと思うんです。
そこには子供たちもたくさんいますし、多くの人が暮らしている。
マンションの所有者は村長のような者にならないといけない訳です。
入居者もただ住む為のものではなく、子供たちが成長していく場としての『ふるさと』を皆で作りあげていくことが大切なんじゃないか、と・・・。

このマンションの屋上には畑がありますし、ここの住民は美術館も使えたり、来客が来たときは庭でコーヒーを飲んだりしてリビングのように使うこともできます。
建物を住むだけのものではなく、ひとつの『ふるさと』として意識改革をしていくと建築物の創り方も変わっていくと思うんです。

関口美術館館長 関口雄三さん今から45~6年前に私の父達の世代が、海苔なんかの漁業権を都に売ったんです。
それから開発が始まって、土壌汚染等も広がり昔は海底が見えたきれいな海も遊泳禁止になってしまいました。
私たちが親しんだ遊び場がなくなったんですね。
区画整理が進んで、今の子供たちのフィールドがどんどん無くなっていきました。
そんなとき、豊かさって何かなぁと思うようになったんです。

20数年前に運良く葛西の海は人工なぎさになったんですよね。
私が昔遊んでいたきれいな海をまた取り戻して、子供たちが葛西の海で泳げるようになんとかしてやりたい、という思いで2001年から『ふるさと東京を考える実行委員会』を立ち上げ理事長として活動を始めました。
関口美術館館長 関口雄三さん先日もタワーホール船堀に650人くらい集まって頂いて、西なぎさを泳げる海にするためにはどうしたらいいのか考え、また沢山の人に問題意識を持ってもらうための『海水浴場復活シンポジウム』を開いたんですよ。
そこで小中学生を対象に "ふるさとの海" というテーマの『こども・海の作文・絵画・工作コンクール』を開催しました。参加してくれた子供たち471名の展覧会をこの美術館でやって、全員に賞状を渡したりして。
子供たちにはこんなチョッとした体験が大切だと思います。みなさんも私たちの活動に参加してもらえるとありがたいですね。

海をきれいにすることは海周辺の人だけでなく、上流の人たちも関心を持つようにしないといけないし、みんなが意識革命をしてくれる事が必要です。
誰かがやってくれるとかそういうのは幻想に過ぎません。
まず自分が行動することが大切なんです。

関口美術館館長 関口雄三さん『ふるさと東京を考える実行委員会』では葛西海浜公園西なぎさを子供の体験の場とし、潮干狩りや海水浴、ノリ、カキ、アマモ等の育成を通じ、自然と人との関係性において自然を深く知り、自然を大切にすることは、自分を大切にするという共生(ともいく)の思想を具現化しようとしています。
潮干狩りをすることで砂に酸素が入り、カキやアマモを育てることで水が浄化されます。春夏秋冬、子供たちに楽しみながら自然の良さを感じてもらい環境を取り戻していく。
私は21世紀は壊した物を再生していく世紀なんじゃないかなと思っています。

みんなが『ふるさとを守る』という、そういう意識を持つようになってもらいたいですね。

2009年11月18日 関口美術館にて

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